営業的留学うさんくさい博士号も肩書きにいれている、ある大手留学斡旋会社の人の経歴を見ていたら、「ハーバード大学MLE (Institute for Management and Leadership in Education)修了」とあった。 これを見て普通、どういった印象を受けるだろう。 「ハーバードのプログラムを修了しているなんてすごい」 ところが内容を見てみればなんのことはない、単なるエクステンションだ。 Degree Mill とならんで日本では、アメリカの大学のエクステンションへの 参加歴を経歴に入れている人を見ることがある。例えば上で挙げたMLEは いわゆる日本の公開市民講座よりは内容は濃いようだけど、果たして2週間の セッションに「参加」したことが「修了」といったような思わせぶりな書き 方ができるほどスゴいことなんだろうか・・・。(エクステンションの話は 「学歴詐称のカタチ」の中の「色々バレちゃったこと」でも触れた。) ただ、その人がそのような経歴を強調しているのは、ビジネス的には正解だ。 日本でのハーバードという名前の「営業力」はすごい。 ハーバードやその他の「名前に営業力がある大学」はそのことを知ってか 知らずかこの手のエクステンションのビジネス展開にも余念がない。そう いえばハーバードの語学学校(エクステンションの一種)のディレクターに 「まじめに英語を勉強したいならうちには来ない方がいい」と言われた エピソードも「色々バレちゃったこと」に書いたなぁ、なんて考えてるうちに、 以前に出会ったこんなケースを思いだした。 お医者さんが手っ取り早く「アメリカの学位」をとるのによく利用される某 分野(修士課程)がある。修了すれば「○○(アメリカの大学名)大学修士」 と経歴に入れられるわけだ。もちろん普通にその分野を追求している人もいる。 ある時、日本のお医者さんからその件について留学相談を受けたことがある。 彼女はハーバードと某州立大から合格通知を受け、どちらに行くか迷っている とのこと。 自分のアドバイスは、「日本向けの営業を考えるなら迷わずハーバード。 まともに勉強するつもりなら某州立大」。カラクリはこうだ。 Gourman Report によれば、某州立大はその分野では全米トップ。ハーバード のプログラムは「評価外」。ここいらへんがアメリカの面白いところで、 有力校でもしっかりプログラムを運営してなければ評価はドライだ。ちなみに Gourman Report 評価外というのは「ハシにも棒にもかからない」ということ。 「業界内」でもハーバードは海外のドクター相手に商売するためにその修士 課程を作ったというウワサで、実際、ほとんどの学生は留学生だそうだ。 Gourman Report の評価はしっかりその実態を反映しているというわけ。 しかして彼女はハーバードを選択した。親に「学費からなにから全部出すから 頼むからハーバードに行ってくれ」と言われたそうだ。まさに営業力。 余談になるけど、その分野で某州立大に合格できたということは彼女は本当に 実力もあったということ。かたやハーバードのそのプログラムのハードルは 実は非常に低い。え?自分も行きたくなったって? あの学費が払えるなら ご自由にどうぞ(汗)。 念のためつけ加えておくけど、だからといってアメリカでは「大学の名前は その後のキャリアに関係ない」といえばそれはそれでウソになる。日本ほど ではないけれどね。 ←ブログ内フリーページの留学ネタリンク集。 各フリーページの簡単な説明つき。 ブログHOMEに戻る オリジナルエントリー 営業的留学(その1)(2005年11月30日) 営業的留学(その2)(2005年12月1日) |